遺産分割協議

遺産分割協議で,寄与分及び相続人の一人による使い込みの有無が問題となった事例

依頼者
40代女性
亡くなられた方 父親,母親
相続人 長男,長女,次男
財産(遺産) 不動産(土地・建物),預金

ご依頼の背景

父が約5年前に,母が数カ月前に亡くなった長女の方から,母の法要の際に父母の遺産分割について話し合いを行ったが,長男及び次男と話し合いがまとまらなかったと,ご相談に来られました。 また,母名義の預貯金額が長男及び次男の予想より少なかったので,長女による預貯金の使い込みを疑われているとのことでした。 なお,依頼人の父が亡くなった時には,父の預貯金は母が全額引き継ぐことにしましたが,父名義の不動産の名義変更は行っていませんでした。

依頼人の主張

依頼人である長女は,母は介護が必要な状況であったため,長女が父母と同居して献身的に母の介護をしてきたことを,長男及び次男に分かってほしいというご意向でした。 また,母は,身体的な介護は必要であり,多少の物忘れ等はあったが認知症等の財産管理能力上の支障はなかったため,母の依頼を受けて出金等を行ったことはあったが,母名義の預貯金は母自身が管理していたため長女が使い込んだ事実はないことを説明したいと考えておられました。 また,父名義のままにしていた不動産(土地・建物)については,居住している依頼人が取得したいというご意向でした。

サポートの流れ

まず,父母の介護状況について依頼者から詳細なヒアリングを行いました。母は,一時期は施設に入所していましたが,母の希望で自宅で介護を行うことになったという経緯がありました。そのため,依頼者が保管していた診断書,介護認定に関する資料,施設入所中の利用料領収証等を集めました。 そして,母名義の通帳履歴を,母による預金使途に関する根拠を付して長男及び次男に開示し,長女による使い込みの事実がないことを説明しました。 さらに,依頼人が母の介護を行った期間について,母が施設に入所継続していた場合に想定される費用を説明し,同額が依頼人の寄与分にあたることを主張しました。 また,父名義の不動産の査定を不動産会社に依頼しました。

結果

依頼人による使い込みの事実がないことは,一部資料が不足する部分もありましたが,長男及び次男に丁寧に説明を行うことで,納得いただけました。 また,依頼人の寄与分についても,主張額から若干の譲歩を行いましたが,長男・次男ともに長女による介護の大変さを理解し,寄与分を認めることで合意しました。 不動産の価格について,相手方は固定資産評価額を基準にすると反論してきましたが,売却可能性が低いことを考慮した当方の査定額から若干の譲歩を行い,固定資産評価額よりも低額で評価することになりました。 最終的には,長女が不動産を取得し,長女の寄与分を考慮した上で預貯金を分割することとなり,依頼人の希望を叶える形での分割協議が成立しました。

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